7月16日に梅雨が明け、夏真っ盛り。
水にちゃぷちゃぷ浸かったら気持ちよかろうと、岩手と秋田の境にある胆沢川支流小出川へ向かいます。
秋田県東成瀬村の林道から、いにしえの街道「仙北街道」をたどって入渓します。
容赦ない斜度の林道で、ぽんこつ車ではスタックしてトレイルヘッドまで行けません。
歩きましょう登りましょう。
暑い暑い…途中の水場で水をかぶって頭を冷やしていると、オタマジャクシが泳いでました。
ん?なんか鰓が出てるぞと思ってじっと観察。山椒魚のチビ太です。
30分ほどで稜線「丈の倉」にでます。
焼石岳が北にそびえる。
ついつい「やっほー」を連発してしまいます。
ヤッホー、やっほー、yahoo.
この登山道はクマの気配がとても濃い場所。こんな時期でも稜線上に糞がたくさん落ちてました。
糞を観察すると、草本類を食べているよう。沢沿いに生えるエゾニュウやフキでしょうか?
笛をひたすらぴーぴー吹きながら歩きます。
「粟畑」という場所を過ぎるとトレイルが荒れます。
ピンクテープの導きを見失わないよう慎重に進みましょう。
小出川に到着。少し下流に下った右岸の高台に最高のテン場があります。
今年すでに何組かのパーティーが入っているようです。
変な模様の石だなあと思ったら、葉っぱの影でした。
左岸に大岩がある場所までひたすらさかのぼります。
この大岩は小出川名所です。とても麗しいお姿です。
「コオニユリ」でしょうか?「クルマユリ」かな?
ユリの花が咲くと、渓流釣りも終わりの季節。
先日一緒に釣りに行ったおじさんから教えてもらいました。
おじさんは「ユリの花が咲くと、悲しくなっちゃうんだよね」と話してました。
ここから釣りあがるのですが、ユリの予言通り全然釣れません。
暑くて魚も夏バテ気味なのでしょう。
小出川に流れ込む支流、柏沢に入る。
陽が傾いて少し涼しくなってくると、ようやくぽつぽつ釣れだします。
柏沢は両岸が切り立ってきて、一晩のお伴には少し心もとない様子。
一度小出川まで戻って、今晩の宿りを探します。
と、歩いている最中、目の前50m先に真っ黒な影がひとつ…
熊です。
ゆっくりと後ずさりしながら距離をとって観察しました。
岸に生えるエゾニュウの根本をはむはむ齧ってました。
熊から少し離れて本日の宿を決める。
ヘッドライトを忘れました。
予備のヘッドライトまで忘れていたので手も足も出ません。
携帯のフラッシュライトをたまにつけて何とかしのぎました。
忘れ物チェックシート作ろうかしら。
とはいっても、渓の夜を焚火の明かりひとつで過ごすのも乙です。
月は三日月少し過ぎたあたりでしょうか、対岸の大岩をカインドオブブルーに照らす。
火照った昼の暑さを冷ましてくれる夜の帳。
焚火の明滅に誘われて、蛍がゆらゆらと訪ねてきます。
本日は終了。おやすみなさい。
「朝だよう、けろけーろ」
朝から容赦のない日差しです。
夏、真っ盛り。
本日は柏沢を遡って稜線まで突き上げます。
トンボがたくさん飛んでいます。
昨晩もそれほど蚊に悩まされませんでした。トンボ伍長殿が食べてくれたのでしょう。
沢にはカゲロウやカワゲラの姿が見えません。
こちらもトンボに…
毛バリ釣りお手上げですね。
柏沢にどどーんとかかる大滝「柏大滝」
2万5千分の1の地図670mに滝表記のある場所です。
右岸を大高巻きをして乗り越します。
かなりの冒険野郎です。
柏大滝の先にも高巻きの滝があります。
2万5千分の1の地図690m手前、二股下流に滝表記のある場所です。
こちらも右岸から巻くと…
山毛欅に切りつけ発見!
先人たちの道をなぞってることに喜びを感じます。
先日熊に遭遇してますが、この山域はとても生き物の気配が濃い地域。
それにしても、山ふたつに横棒と縦棒で記されたこの木印は何を意味しているのでしょうか?
750m付近連瀑帯
まだ雪渓が残っている!
この連瀑帯まで岩魚がいます。
足首ほどの流れの中に岩魚が逃げ惑うので、釣るよりも掴んだ方が早い状態です。
岸に生えるフキはなぎ倒され、根元を齧られたエゾニュウ多数。
ここは熊のテリトリーですね。早々に進みましょう。
最後流れが細くなり柏沢終了。
落ち葉をかき分けV字型に削ったそこには、山肌の岩盤が覗いてました。
この岩盤の上に何万年もの間に積もった腐葉土がたまって森ができているのだなあと感心します。
2万5千分の1の地図に表記のある1018mピーク少し左の稜線めがけた沢形をたどってます。
最後、それほど密度が濃くない根曲がり竹の藪を漕いで稜線上の仙北街道に到着。
野生にどっぷりつかった山行ができました。
ご精読ありがとうございます。