夕立で増水の危機、実は今年2回あってました。
前回の増水記事↓
9月14日、山形県小国町と新潟県の県境に源流を持つ女川で遊びました。

国土地理院の地図では点線の登山道があるのですが、実際現地に入ってみるとかなり荒れている状況。

しかし、もとから人通りの多い山道だったのか、ブナの木の切りつけがかなり多く、踏み跡を慎重にたどれば道を外さず進めると判断。
そのまま計画どおり進みました。


「ミワ健」さんの切りつけ多し。

とはいっても、場所は朝日連峰の南側(朝日前衛という山域になるのでしょうか?)の標高がそれほど高いくはない場所で、荒れた道は灌木が邪魔をしてかなり進みにくい状況。

顔をクモの巣に絡められながら、腕をハチに刺されつつも力ずくで何とか沢床までたどり着きました。
渓相は最高で、女川の名前よろしく柔和なお姿。

難しい場所もなく、予定どおり「ゼンマイ広場」といわれる高台の平場でテントを広げました。

問題は夜中。
出発前の天気予報ではあらわれていませんでしたが、この時急激な積乱雲が発達していたらしく、大粒の雨が降りだしました。

あれよあれよの間に土砂降り。



テントの中だから安心だと思いきや、ひょろっひょろのツェルトな我が家はもはや水中。

寝袋は濡らしたらいかんのだ
寝袋は、
濡らしたら、
いかんのだ!
と常日ごろから唱えている教えにしたがって、真夜中に寝袋から這いだして、寝袋と乾いた服をドライなバッグの中に押し込んで救助。
濡れた私は寒いのですが、行動着に着替えて一時凌ぐことにしました。
午前0時ナリ。


あまりにも雨の勢いがすごいので、沢の様子を覗くと、
ジェット水流…
2m以上はある高台の上に逃れているとはいえ、見ていて恐ろしくなるほどの水量/水流。
真っ赤な雨雲が通過している真下に、自分のいる沢の上流部が位置しているのですから、増水は必至。
漆黒の闇の中、降りしきる雨…
まるで波のように雨脚が強まって弱まってを繰り返します。
高台にいても恐ろしくなる水量で、この土砂降りが今後どんな影響を及ぼしてくるのか不安が募る。


最悪真夜中に荷物撤収して山側に逃げるかな。
えっ、それちょっと辛すぎませんか?ブルブル…

でもこれ土石流とか発生してもおかしくない状況ですよ。

先月八久和川で経験したことまったく活かせてないじゃない。
真夜中に流されるとかそんなのいやだ、いやすぎる。

でも今から撤収するのもいやすぎる。ガクガク…

などと自問自答しながらヘッドライトで濁流を照らす真夜中の山の中…




それでも3時間ほど経つと、次第と雨脚も弱まってきて、沢も減水してきて事なきを得ました。
真夜中にひたすら雨に打たれながらの観察を通して、雨脚も川の水量も、まるで波のように増減を繰り返しながら、変化をたどっていくことに気がつきました。
雨がざっと降れば、弱まり、しばらくするとまた雨脚が強まっての振幅があるのですが、そこから一歩引いて観察すると、波の上下が全体的に下降していくイメージです。
「雨が止む」のように、状況の変化は「点」であらわれない。
「雨が止んできた」のように、グレーゾーンがあるわけではなく、弱い雨と強い雨が波のように繰り返されながら、しかし全体的な波は下降線をたどるようにして天気が移り変わっていく。
人間の作る言葉の世界というのは、「点」を作ったり、ぷっつりと区切って「黒」と「白」をでっち上げて、それに収まらなければ「グレー」なんて中間みたいなもので誤魔化しているけど、自然の現象を観察すれば、全ては流転不動なる振幅があるだけであり、変化し続ける波が、これすなわち…
こんなことを考えながら、真夜中の山奥で、土砂降り雨に打たれながらすごしていました。
我がことながらイカレてるぜ!
翌日は幸いにも増水の影響をそれほど受けず遡行をすることができました。

なんなら、ちょっと濁ったせいもあってイワナがめちゃくちゃ元気に泳ぎ回っていました。
ペアリング行動のようなものもちらほら。
恋の季節ですね。秋はすぐそこ。

女川上流、牛股技を遡行して、東俣沢と五郎三郎沢の二股からのびる登山道で帰路につきます。

こちらも荒れてますが、ブナの切りつけ多数あり、踏み跡もありますので慎重に歩けば進めます。

1時間もしないうちにのっこして山形県側の小国町が展望できます。やっほー

この峠から少し下ったあたりから草払いがされてました。助かります。ほんとありがとうございます!
今回の報告は以上です。
お読みいただきありがとうございました。