2月18日休みだったため、18日にあてつけて、以前から気になっていた山形県中山町にある「岩谷十八夜観音堂」に参拝することにしました。
青森県の下北半島にある恐山では「イタコ」といわれる巫女が有名ですが、なにやらここ山形県中山町のお山にも、同じようなシャーマニズム文化があったというではありませんか。
行かない手はありません。
さらに本日は2月18日。
岩谷十八夜観音の名前にもあるように、毎月18日は「ご縁日」。
なおさら行かないわけにはいかないのです。
いざ出発します!
先日まで気温が上がり、積もった雪はかなり溶けてなくなっていました。
しかし寒波の影響で、前日17日に再度降雪。
雪の時期以外であれば、岩谷十八夜観音堂まで車で行けるのですが、2月ともなれば雪に阻まれて途中から歩きになる場所です。
とりあえず除雪終点まで到着。雪道をラッセルして進みます。
出発早々、分岐点の橋に出ました。
が、行き止まりの道でした。引き返します。
こんどこそお目当ての橋です。橋の下にもちゃんとした道があります。
急こう配を転がり落ちます。
橋の下に来ました。
冬の橋は、欄干以上に雪が積もっているのにくわえ、周囲の雪景色とあいまって、高低感覚がおかしくなるため、橋を渡っている気がしません。
下まで来て、ようやく橋を渡っていたんだなと認識できます。
ここから沢沿いの林道らしい細道をたどっていきます。
とはいえ、先ほどまでの道とうって変わり、ガードレール等の人工物が見当たらない(もしくは雪に埋もれてしまってる)ため、どこが道路か判断に迷います。
とりあえず平らっぽいところを選んで進みます。
あたりは雪化粧ですが、立春も過ぎて、木の芽も膨らみ始めた気がします。
好調に進んでいくと…
道が途切れて切り立った崖になってしまいました。
どこかで道を見誤ったのでしょうか?それとも廃道だったのか…
下は沢。降りて沢沿いを歩く手もありましょうが、ボチャンと水の中に落ちたら一巻の終わり。凍え死んでしまいます。
遠回りにはなるでしょうが、もと来た道に戻り、安全なルートを取ることにします。
ただひたすら雪道を進みます。
ラッセル、
ラッセル、ラッセル
…ラッセル、ラッセル…
すると…
一匹のクモがいました。
めちゃくちゃ寒い雪の上、普段見るクモの0.01倍速くらいの動きになっちゃってます。
生き物の気配が極端に減る冬のお山。
真っ白な雪の上に生き物を見つけると、ちょっと嬉しいです。
このクモは、そんな中でも生きていける仕様なのでしょうか、それとも間違って目を覚ましてしまったのか…
青看板が登場しました。目的地の「岩谷十八夜観音」を示してくれてます。
分岐を左折すると「岩谷フルーツライン」になりました。
「もしかして分岐点から除雪されてるかも」なんて甘ったれた考えが浮かんでましたが、全く状況は変わらず。
スノーシューをはいてもひざ下くらいまで沈み込む歩行が続きます…
ちょっと待った待った、いったん休憩タイム。
歩行ペースがつかめず、汗をかいてます。
雪での歩行で、汗をかいて衣類を濡らしてしまうのは、かなり危険な行為です。
零下の気温では、体温で衣類を乾かすほかありません。
少しクールダウンします。
サーモスの保温ボトル500ml2本体制で挑みました。
お湯が1リットル使える状況はかなり気持ちに余裕ができます。
じっとしてても、足先や指が凍えてくる。
休憩もそこそこにして、出発。
うねうねと緩い登りを歩いていくと…
先ほど山楯大橋から分岐していた道のその先、終点までつきました。
車両通行止めのようですので、道が崩落していたのかもしれません。
そこからしばらく進むと…
岩谷十八夜観音の標識が!
到着しまし…
ドサッ…バサバサバサッ…
いきなりヤマドリが飛んでびっくり驚く。
どうもお堂の方で休んでいたようです。
雪をかぶった観音さまが迎えてくれます。
鐘があったので鳴らしました。
「ごおおぉぉぉぉぉん」
となる金属音が、静まり返った山々に吸い込まれていきます。
鐘のうねりが、だんだん小さくなり、聴こえなくなるまで耳を澄まして堪能しました。
雪の時期に、人里離れた山まで来ると、音が雪に吸い込まれるのか、しんと静まりかえってます。
そのような中で音を聞き入ると、神経が研ぎ澄まされていくように錯覚します。
お堂の方へ向かいます。
拝殿
ご神木でしょうか?樹皮がうねって素晴らしい造形です。
屋根に積もった雪が、落ちてたまっているのか、大きな雪山が立ちはだかります。
参拝しましょう。
っん?
先客がいらっしゃったようです。
先ほど飛んで逃げたヤマドリでしょうか。
拝殿の前まで来て立ち止まり、戻った足跡がついてました。
足跡。大変信心深いヤマドリです。
鐘の鈴緒とは別に、なにやら布の切れ端でできた、ミノムシライクで不思議なかたちの鈴の束がぶら下がっています。
横から
下から
鈴は錆びてしまってますが、揺らすと、ミュートが効きながらも小さくガランジャランと鳴ります。
道中の安全を祈願しました。
昼食にします。先ほどゴーンと鳴らした釣鐘の横に、大変すばらしい休憩スペースがあります。
雪のない時期であれば、地元のばあちゃんたちが集まって井戸端会議しているような場所です。
少し拝借して休憩させてもらいます。
味噌おにぎりと丸米インスタント味噌汁しじみ味。
寒さで感覚が研ぎ澄まされているためか、キンキンに冷えたおにぎりでも、味噌の甘みをビンビン感じて大変おいしいです。
外の雪が強くなる。
帰路につきましょう。
来た道を戻る。
自分の足跡で踏み固められた雪道になり、かなり快適。
通勤快速で進みます。
葉を落とした木と真っ白な雪のモノクロな世界。
その中に木の実などのかたちがあると、浮きだって目につきます。
オニグルミの木の実でしょうか?
太陽が出てきました。
ときおり青空も顔をのぞかせます。
山楯大橋まで来ると、なんと除雪されていました。
わたしが通った後、除雪車が来ていたようです。
スノーシューを脱いで進みます。
足取りが軽い軽い。
雪は50センチほど積もっていたようです。
低いですが雪の回廊になってます。
パシャリ
無事駐車場まで到着しました。
片道4キロ強の道のりでしたが、始終ふかふか雪道のラッセルが続いたため、かなり疲労困憊です。
帰りは中山町にある「ひまわり温泉ゆ・ら・ら」で疲れを癒しました。
今回登場した岩谷十八夜観音で所蔵されていた資料はウェブ上でも公開されています。
リンク先の「写真一覧」にてご覧いただけます。
絵馬の絵柄や動物の骨や牙を用いた数珠、布で何重にもくるんだ「トドサマ」など興味が尽きません。
本日は以上です。ありがとうございました。