“funny pack”ことウエストポーチについてご紹介いたします。
このウエストポーチ、大型バックパックと同じで2018年のPCTスルーハイクで作ったギアでした。
スルーハイクで作成したモデルはこちら。
長旅ですっかり疲れてしまったお姿がなんとも頼もしいですね。
私、PCTロングトレイルの際はトレイルネイム「watermelon:スイカ」を名乗っておりまして、
そのウォーターメロンがスイカの前で記念撮影した際の一枚です。
胸元にはキラリとファニーパックが控えております。
財布やらパスポートを肌身離さずつけていたかったので、街に出た際はそれらを入れたファニーパックを常に胸元に着けていて重宝いたしました。
こちらが現行モデルのファニーパックと並べた写真です。
右が旧モデル(PCTで使用したもの)
左が現行モデルです。
ぱっと見でわかるほど大きくなりました。
まず開口部が異なります。
現行モデルはフロントパック(肩掛けで使用する状態)での使用を考えて、フロントジップを「ぐぃっ」と斜めにまげてあります。
胸元に着た際、チェストポケットのような感じで開くことをイメージして設計したデザインです。
旧モデルは一般的なウエストポーチと同様、横一直線で開閉するジップがつきます。
ポケットの場所も大きく変わりました。
旧モデルは…
正面に小さなポケットと、
メイン気室が平行に来ます。
一方現行モデルは…
斜めに切れ込んだメイン気室の開口部と、
背面に小ポケットがつきます。背面の生地はショルダーなどに使用される通気性の良いスペイサーメッシュを使ってます。
大体のスマートフォンが入れられることを想定して大きさを設計してます。
大体の大きさですが、開口部が175㎜で深さが80㎜から110㎜あります。
もちろんパスポートも余裕で入れることができます。
大きさの話に戻ります。
なぜここまで大きくしたのかというと、
旧モデルを使っていて一番ストレスに感じた部分が「ものが入らない」点だったからです。
最初の設計時、財布にスマートフォン、それにパスポート。リップクリームやらの小物がちょっとはいればいいやなんて思って、とってもミニマムに作りました。
しかし実際使ってみると、500mlペットボトルやらなんやらいろいろ追加でいれたくなることに気づいたのでした。
旧モデルに500mlペットを入れようとすると…
ぜんぜん入りません。
なにもペットボトルに限らず、例えば軽量なウインドシェルなんかですと、大体500mlサイズだったりします。そんなちょっと持ってたら安心できるものが入れられないことに不便さを感じてしまったのでした。
なんでもポイポイ入れられるウエストポーチが欲しい…
欲望は開発の友です。
現行モデルは…
もう、余裕で入ります。
700mlのスマートウォータボトルはどうでしょう?
入りました!素晴らしいです。
では、1Lのスマートウォーターボトルはどうでしょう?
あ、入りませんね…
ついでですのでナルゲン(1L)はいかがでしょうか?
なんと!入りました。
恐るべき包容力です。
とはいっても、太い水筒のためファニーパックに余裕がなくパンパン。ファニーパックの背面にはクッション性ありませんので、硬いものをぎちぎちに入れてしまうと荷物が身体にあたって快適ではありません。
ずっと持ち続けるほどの使用は厳しいと思います。
ちょっとそこらで水汲みするくらいであれば実用できると思います。
それにしてもナルゲンボトルの風格ったらないですね。
なかなかウォーターボトル百花繚乱の時代になってしまって、出番がなくなりつつある水筒ですが、このでっぷりとした「みず・ため・ます」感は、他にはない風格があります。
旧モデルは生地にいわゆる「ハイブリッドキューベン」を使ってました。
あの、めちゃくちゃ高価な生地です。
スルーハイクの酷使を経た結果、ラミネート生地特有の剥離が生じてて一番上のフェイスファブリックに皺が出ています。この皺の部分は凹凸があるので、擦れを繰り返すと凸部分に穴が空きます。
現行モデルはロービックナイロン生地を使用しています。
決して最軽量の部類ではありませんが、バックパックのフィールドテストで散々使い倒した生地のためとっても信頼しています。
ウェビングテープも幅広に変更しています。
上が旧モデル、下が現行モデルのウェビングテープです。
25㎜巾から38㎜巾へ広くしました。
実をいうと、ウェビングテープは意外と重い部材になります。
そのため極力細目に振った方が、軽量化には貢献します。
一方、フロントパックとして肩掛けで使用した場合、このウェビングテープで荷重を支えることになります。ウェビングテープの幅が広ければ広いほど荷重を支える面積が増え、快適性に貢献することにもなります。
また、テープ幅が広いと、テープのねじれなどに気づきやすく、使用時のちょっとした掛け間違いにも気づくメリットもあります。
ここは重量増のデメリットに対して使いやすさのメリットが高いと考え、あえて38㎜巾のウェビングテープを採用いたしました。
ジップもワンサイズ上の大きさ(#3から#5)のものに変更しました。
初期モデルでは軽量化を狙って、最小のジップを採用したのですが、開閉時スムースさでは大きい方に軍配が上がります。
頻繁に開け閉めを繰り返す個所のため、こちらも重さのデメリットに対する使いやすさのメリットを優先させました。
そんなこんなで仕上がったファニーパック。
生地の選択でロービックナイロンといってましたが、正面の斜めジップがぐっとひきたつxpacモデルも作りました。
こちらも、フィールドテストを通してさんざん使い倒した生地。
ラミネート系の生地の中で一番信頼しています。
重さに関しては、旧モデルは70gだったのに対して、現行モデルは105g。
(2023年3月更新:テープ延長に伴い110gへ変更になりました)
重くはなってしまいましたが、無駄なお肉は何一つありません。
全て意味ある重さ。
道具を作って使っていくうちに、私にとっての「軽量化」とは「実用性と重さの比率」の関係だと行きつきました。
そんなものが結晶したギアです。
もう街から山までほぼ毎日使ってます。
テンカラ道具一式をつめてちょっとそこらへ…なんて時もとても重宝します。
- サングラス
- スマートフォン
- テンカラ道具その1※カラビナで外付け
(糸切り、フォーセップ、浮かせ油) - テンカラ道具その2
(毛鉤、仕掛け巻き、ハリス、予備の仕掛け) - 虫よけセット
(虫よけスプレー、ハッカ油、虫刺され薬) - 日焼け止め
- 地図とコンパス
これだけ入れてもまだ余裕のある収納力です。
ここまで来るのに、いくつの試作品を作ったのかしれません…
何せ2018年から延々と続けていましたから…
作っては…
遊んで…
設計しなおしては…
友人に使ってもらって意見をもらったり…
どうですか?使い心地は!?
なんかバカみたいな形もいっぱい作ってました…
かたちにしてみると無理があるのわかるのですが、平面で想像して設計している段階では本人はまじめに作っていたのでした…
なにごともかたちにしてみなきゃわからないものです。
考えるより手を動かすのがモットー
Don’t think.makeであります。
そんなこんなで、とうとう納得のいくウエストポーチが完成いたしました!
8月中にはオンラインショップにて販売できるよう鋭意製作中ですので、もうしばらくお待ちくださいませ。
商品ページはこちら↓
ご精読ありがとうございました。